<10/28の友人からのメール>
「11月23日(金)に映画「風を聴く」を観ませんか。台湾(九ふん)を舞台とするドキュメンタリーです。横浜黄金町のジャック&ベティで9時50分の回だけです。行ったことのない映画館ですが、ここでしかやっていません。」
11/23朝に、横浜・黄金町の『シネマ・ジャック&ベティ』を目指す。
地図を片手に。
黄金町には一度も行ったことがないので、当然そこに『ジャック&ベティ』というキュートな名前の映画館があることも知らなかった。
更に、「風を聴く」という映画の存在も知らなかった。
京急・黄金町駅から徒歩5分なのに迷子になった。
地元っぽい家族連れの方に伺うと「えっ、そんなとこあったかな? あっ、アレだ!」
何のことは無い。
もう10mも進めば、そのビルがあった。
時間は9:10、まだ映画館の入り口らしき場所のシャッターは閉まったまま。
70代の女性2人の先客有り。
どうやら常連さんらしい。
「ここの映画館は空いてるから こんなに早く来なくてもいいんだけどね。この前なんて5人しかいなかったもの。でもほら、年寄りって早起きだからね。あらっ、この映画館は初めてなの? 潰れない様にまめに来てね」
原点回帰“二本立て名画座(ジャック館)”&“横浜での単館系ロードショー館(ベティ館)”
結局、シャッターが開いたのは、9:35頃。
友人3人と共にチケット購入(一般1,500円、横浜市民は1,000円)&クッションGET!!
階段を上がって、2階チケット売り場の左手が「ベティ」、右手が「ジャック」。
「ベティ」会場はレトロで、シネコンに慣れた私らには椅子が固く、場内の傾斜が少ないので、前列に人が座るとスクリーンが見えにくい。
前列に人が座ったら、即移動!
あれっ、先客のマダム2人が移動している。
「風を聴く」ではなく、松田優作19回忌の2本立て「ヨコハマBJブルース」&「人間の証明」なんだ!
てっきり台湾映画の「風を聴く」だと思っていた。
場内は、「おじいさま3人いつでも千円」のグループとか、台湾駐留経験があるんじゃないかしらと想像してしまうような高齢者が多かった。
さて、ドキュメンタリー映画「風を聴く」の舞台となっているのは、台湾の九份という土地だ。
「千と千尋の神隠し」のモデルになった土地とも聴くが、この作品ではそのことには触れていなかった。
この場所に、金の鉱脈が発見されてから金鉱が作られる。
日本の植民地になったときの九份→ゴールド・ラッシュの九份→中国・国民党による九份→閉山→九份の自然美が再認識された九份を、 九份在住の方々へのインタビューと、一青 妙(歌手の一青 窈のお姉さまで、姉妹のお父様が金鉱のオーナーだった)のナレーションで綴る。
現在80歳、金鉱で働き、今尚、健在の老人、江氏が、達者な日本語で、九份のことを説明してくれる。
古き良き時代の学校教育で日本語を習っているので、語り口は非常に達者な日本語、我々日本人よりよっぽど丁寧で語彙の多い日本語で九份の歴史を語ってくださる。
あまりに達者すぎ、日本人でもめったに使わない言葉を使っていることに、涙が零れた。
台湾が日本に占領され、辮髪などの風習を否定された歴史と、抑圧された民族に涙した。
現在は、その風光明媚さや過ごしやすい気候ゆえ、アーティスト達が集まっているそうだ。
「釘絵」やコールタールで描いた絵画などが紹介されるが、なかなか味のある作品だった。
金鉱労働者は、肺病に罹患しやすく、ほとんどの方が40歳まで生きられないそうだ。
そのため30代のうちから寡婦になる女性や、幼いうちから片親になって生活苦になる子供達も多かったようだ。
そんな子供時代を過ごした人が作曲した哀切伴うメロディーと共に、山々、街並みが映し出される。
九份の四季によってうつろう景色が実に美しい!!
山紫水明、絶景である。
台湾のアーティスト達がこの九份を作品のテーマにする気持ちが良くわかる。
春と夏がお勧めらしいが、階段が多い街なので散策するにはそれなりのシューズで行かないと辛そうだな。
この映画では、占領時の日本のことを余り悪くは描いていない。
ある意味、良く出来たプロモーションビデオだ。
たぶん、「千と千尋の神隠し」以降、日本人が訪れ、より一層の日本人の観光誘致を図るためにこの映画を制作したのではないかと穿ってしまった。
友人がこの作品のことを知ったのも、台湾観光で九份行きのオプショナル・ツアーがあったためだ。
だが、前述したとおり、この美景は訪れてみたい!!
友人共々、満足!
「長江哀歌」で期待していた風景がほとんど見れなかった分の、良い穴埋めになった。
1900年代に2度ほど台湾観光をしたけど、そんなツアーは知らなかったな。
超貧乏な個人旅行だったからかしらん。
そうそう、この映画館では、上映作品のリクエストを募っているのには、驚いた。
地元密着型の映画館『ジャック&ベティ』。