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2008年2月12日 (火)

「ヒトラーの贋札」は見るべし!

Photo

海岸で1人の男がただずんでいる。

モンテカルロの海って綺麗だな。

気持ちが良いカメラワークだな~。

コンチネンタルタンゴ~♪~も良いし!

第二次大戦後かぁ。

あっ、時代が変わって場所も変わった。

1936年のベルリン。

ベッドの上には、素敵なオネーサンのアグライア(マリー・ボイマー)!

目を奪われるボディライン!

まるでビーナスみたい!

サリー(カール・マルコヴィックス)と一緒にスケッチしたいよ。



あれっ?

この映画はナチスの犯罪の映画だよね!?

ギエ~、サリー逮捕!

ついに、ナチスのお出ましだ。


この映画は第二次世界大戦時のナチス・ドイツの「ベルンハルト作戦」を題材にした「ヒトラーの贋札」。

実話を元にした作品である。


「理想か、現実か」という 2つの選択肢、どちらを選ぶか、一言でいうとそれを観る者に問いかけている。

<ちょい、ネタバレあり>

マウトハウゼン強制収容所で、サリーは、類まれな絵の才能をドイツ軍将校に認められ、お抱え絵師となって生き延びる。

絵の下書きの木炭を消すのにパンが使われていたので、うまくちょろまかして飢えを凌ぐサリー。

実に賢い。

舞台の中心となるのは、第二次世界大戦中のドイツ・ザクセンハウゼン強制収容所。

贋作師のサリー(カール・マルコヴィックス)や、印刷技師のブルガー(アウグスト・ディール)などのユダヤ系の印刷技師や製版技師達が、ドイツ各地の収容所からザクセンハウゼン強制収容所に集められる。

強制収容所の秘密工場での贋札造りのためだ。

戦況が不利になったドイツ軍は、資金難にもなっていたので、偽ポンド札によって戦略物資を購入しようとした。

贋札が流通することで、ポンドへの信頼が低下し、英国経済に打撃を与えることもできる。

その頃の英国のポンド札は、片面のみ印刷された(!)ものなので偽造しやすかった。

まずは、完璧な贋ポンド札造りを強要される。

次には、アメリカドルの贋札造りを命じられるサリー達。

贋札造りに関わる収容者達は、他の収容者と隔離されて厚遇される。

安らかな眠りと、美味しい食事、週1回のシャワー、娯楽まで。

オーソレ・ミオなど、工場にいつも流れるBGM


サリー達は、この作戦の指揮を執るヘルツォーク少佐(デーヴィト・シュトリーゾフ)に仕事の達成感、プロとしてのプライドを擽られる。


だが、壁一枚を隔てて、そこには生と死が存在した。

方や卓球で遊ぶ贋作技術師達、方や同胞のユダヤ人達。

同胞が銃殺されたという事実が壁一隔てたところにあるのに、
わざとピンポンに興じて、ピンポン玉を打ち続け、サリーを挑発するブルガー。

閉ざされた世界。

恐怖を覚えた。

戦慄した。

正義か、生きる事か?

ナチに協力して贋札造りに加担して生き延びるか、死を選ぶか?

贋札造りを妨害してナチに抵抗しようとするブルガーの理想と、
とにかく今は生きることが重要だという現実派のサリーの対立。

今ここにいる仲間達の命を救おうとするサリー。

どちらにせよ、最後に待つのは死。

自分達も、一瞬先は闇、死と隣り合わせの恐怖はやまない。



音楽が美しすぎる。

イヤッというほど美しすぎ、聞きほれてしまう。

陰惨な内容なのに・・・・。

囚人達のために催された謝肉祭ではプッチーニのトスカのアリア「星は光りぬ」を朗々と歌うユダヤ人技師。

聞きほれるドイツ軍の将校。

誰もが音楽を理解し、愛してやまないのに、何故敵と味方になって殺しあわならなければいけないのか?

音楽によって人は救われない。
ひと時の慰めになるだけなのか。



工場でBGMの音楽が鳴り止んだ瞬間、ユダヤ人技師達は何を思ったか?

贋札造りの証拠を隠滅するため、一斉に銃殺されると思ったのではないだろうか?

「終戦」という言葉が脳裏に浮かんだ者はいるのだろうか?


戦争が終わって解放された時に、骨と皮だけになっても生き延びたユダヤ人の一人がレコードに針を落とす。

音楽を聴ける喜びはすなわち“生”の喜びとなっている。
生き延びた事への安堵に浸るユダヤ人たち。



モンテカルロのカジノで滅多やたらに賭けて贋札を使い果たすサリー。

海辺で、カジノで知り合った女(ドロレス・チャップリン)とタンゴを踊るサリー。

コンチネンタルタンゴ~♪~が、ここでも心地よい。


「金なんて造ればいい」


そう嘯くサリーに、私達は何を思うか。



かっこいいぞ、サリー!

エキサイティングだけど歴史的事実。

ハンディ・カメラを駆使してドキュメンタリーの色合いが強くなっている。

「ヒトラーの贋札」、お薦めの作品。

監督:ステファン・ルツォヴィツキー

撮影:ベネディク・ノイエンフェルス

<キャスト>

         サリーことサロモン・ソロヴィッチ:カール・マルコヴィックス

         アドルフ・ブルガー:アウグスト・ディール

         ヘルツォーク少佐:デーヴィト・シュトリーゾフ

         モンテカルロのカジノの女:ドロレス・チャップリン←チャップリンの孫娘

         素敵なオネーサンのアグライア:マリー・ボイマー

         

     日比谷シャンテで鑑賞。

観客は熟年男性が多かった。

同じ劇場で上映していた「ラスト・コーション」はCMの影響なのか超・満員とアナウンスしていたぞ。

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コメント一覧

投稿 : さはる

「ヒトラーの贋札」はとてもいい映画ですね。映像も音楽もすばらしかった。
ちょっと気になったのですが…あれはコンチネンタルタンゴではなく、アルゼンチンタンゴです。コンチネンタルタンゴは、ヨーロッパでつくられた、メロディのきれいなムード音楽的なタンゴのことをいうので…それとは全然違います。ウーゴ・ディアスのハーモニカがなんとも切なくて心に残りました。

投稿日時 : 2009/07/26 16:09:06

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