自腹でエンタメ!

« 「ブルーマン」に選ばれた人は・・・ | 自腹でエンタメ! TOP | Sotte Bosse「ミュージックステーション」出演!! »

2008年3月 7日 (金)

深津絵里とチョウソンハの「春琴」

会社の先輩からは「山口百恵と三浦友和の映画か~」と誤解され、渋谷東急地下のスーパーで恵比寿の遊閑マダムから「アラッ、京子じゃない。何処に行くの?お茶しない?」と声をかけられるも、「し、芝居を観に行くの~。ごめんね~」と振り切り、たどり着いたのは世田谷の三軒茶屋「世田谷パブリックシアター」。


3月5日水曜日「春琴」の楽日。

この「春琴」は、耽美主義・谷崎潤一郎原作の「春琴抄」をモチーフに「陰翳礼讃」にも通じる“陰翳の美”の魅力を思う存分に盛り込んだ舞台だ。演出は、日本文化への憧憬の深いサイモン・マクバ-ニーが手がける。眼が不自由で美しい琴の師匠・春琴は深津絵里様、奉公人・佐助の若かりし頃は、チョウソンハ君が演じる。エンタメ・ポチは、今回でチョウソンハ君の舞台は3回目だが、シリアスな舞台はこれが初めてだ。TV「SP」では、犯人のポール役を演じていたけどね。

さて、この「世田谷パブリックシアター」、今回は客席の傾斜が急なオープン形式だったので、前列を気にせずに鑑賞できる。幕は開いたまま。会場は超満員で、1F席の舞台の上手と下手には立ち見客もいる。年齢層は20~30代が中心か。一人客や男性同士の客もかなり見受けられる。

奮発して舞台下手のS席 7,000円なのだが、隣のお姉さんの香水の匂いがツ~~ンと鼻に付くのは誠に残念。

一瞬の静寂とざわめきの中、薄明かりのまま唐突なオープニングで始まる。
暗いのでちょっと舞台上の役者の顔の表情が摑みにくい。

何と、原作には無かった現代でのNHK大阪第2スタジオでの朗読家(立石凉子)を登場させたのには、ビックリ!
春琴と佐助の歪んだ重層な愛を現す過去と、仕事中にケータイで不倫相手と堂々と痴話げんかを交わす軽薄ともいえる愛の現代との対比。 「19世紀の闇に支配された時代での究極の愛」VS「現代の闇の乏しい時代、規制の無い愛」。

緊張→弛緩→緊張→弛緩、私の肉体も緊張の過去と、弛緩の現代を行きつ戻りつしていた。

この朗読家を登場させたことで、春琴の虚実がより一層あいまいになっていく。 

Photo_2

舞台下手には朗読家が、舞台中央下手寄りには老年期の佐助(ヨシ笈田)が座している。昼なおほの暗い商家の座敷を中心に、演者たちが畳と棒を駆使して舞台上の空間演出を手がける。


わがままで残酷とも言える眼の不自由な春琴を深津絵里様が演じているが、幼少の春琴は人形で、それを深津様ともう1人の女性が操り、科白を深津様がひねくれた幼女の声で喋る。娘時代は、細身の女性(宮本裕子)を人形のように深津様たちが操り、大人になってから深津様自身が演じている。人形とはいえ、佐助が春琴の着物の裾にすがっている様は、スクリーンに映し出されたシーンとの相乗効果で、人形とのからみとは思えず何ともエロチックだった。人形の春琴に虐げられる佐助役のチョウソンハ君は、実にセクシーで、抑えた演技が光っていた。舞台では、コメディチックな演技しか見たことがなかったのでとっても新鮮!!(しつこいぞ~)



でも、何と言っても深津様!!
さすがだわ~。
深津様の演じる春琴の後ろ姿がなんと艶かしいことか、同性とはいえ惚れ惚れする。



闇と光の効果、畳と棒での空間演出、三味線と謡、スクリーンでの演出、鳥の鳴き声と羽ばたき。。。。


現代と過去、弛緩と緊張、自由恋愛と制約のある歪んだ愛。。。SMなどと単純に表したくない。

春琴から“佐助にだけは火傷でただれた顔を見せたくない”と言われ自ら眼を潰す佐助。

初めて見せた春琴の弱さ。
春琴の気持ちが嫌というほど分る。

目がうるんでステージが霞む。
知らず知らず涙がこぼれていたのね。
会場を包みこむ漆黒の闇。
光に向かって、歩みだす春琴たち。

“陰翳の美”に究極の愛を見出せた。


う~~ん、こんどは、モット前の席で観たい!
再演を切に望む。

[演出] サイモン・マクバーニー
[美術] 松井るみ/マーラ・ヘンゼル
[照明] ポール・アンダーソン
[音響] ガレス・フライ
[映像] フィン・ロス
[衣裳] クリスティーナ・カニングハム 
[出演] 深津絵里、チョウソンハ、ヨシ笈田/
立石凉子、宮本裕子、麻生花帆、望月康代、瑞木健太郎、高田惠篤/本條秀太郎(三味線)

固定リンク

投稿頂いたコメント、トラックバック文言、画像等に関しましては広告化、映像化等、他のメディアに転用する可能性があるため、その場合には「げまてれ」製作委員会およびニフティ株式会社が無償で使用する権利を許諾したとみなします。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:

トラックバック一覧

コメント一覧

コメントを投稿






最近のトラックバック