「NINAGAWA 十二夜」・・・京子
はい、ここはお江戸の歌舞伎座。
夜の部の開幕前。
「行列・・・」で有名になったM弁護士が、なぜか登場した日。
「NINAGAWA 十二夜」。
7月は、昼夜同じ演目。
某日の夜の部にて鑑賞。
1Fは、ほぼ満席。
花道下手の席。
学生時代は一幕見席だったことを思うと超奮発。
斜め前の席は空席だしね。
ところが、序幕直前になってオジサマ登場!
身長は163cmくらいだから、問題ないわね。
座ると、座高は人並み以上!?
舞台中央が全く見えず、身体を右に左にと傾け、伸びをしつつの落ち着かない鑑賞になっちゃった。
この「NINAGAWA 十二夜」は、演出家の蜷川幸雄がシェイクスピア喜劇の「十二夜」を歌舞伎の作品として再構築したもの。
2年ぶりの再演だ。
この「NINAGAWA 十二夜」を再演するに当たって、2年前も双子の兄弟の二役を演じた尾上菊乃助が
「もっと歌舞伎的に演じたい」という想いを蜷川幸雄に訴えたためらしい。
「十二夜」のあらすじは・・・
瓜二つの双子の兄と妹が嵐で遭難して生き別れとなる。
この兄と妹を中心とした四人の男女の縺れた恋模様と、それを取り巻く人々の乱痴気騒ぎである。
妹の琵琶姫が女でありながら男装して獅子丸として仕える左大臣を密かに慕っている。
左大臣が片思いの織笛姫は、獅子丸(琵琶姫)に一目惚れする。
さて、本当は女の琵琶姫はこの三角関係をどのように解決するのか?
生き別れになった兄の斯波主膳之助と出会えるのか?
幕開けと同時に、観客席からは「ほ~っ」という感嘆が起こった。
舞台にも観客席がある。
いや、観客席が鏡に映し出されている。
提燈の赤が美しく引き立っている。
が、あっという間に満開の桜とチェンバロの響きが我々を別世界へ引き込む。
蜷川おなじみの幕開けの驚かしの演出では場内がどよめいていた。
本編とは、全く関係の無い演出だけどね。。。
幕開けから場内の照明を落とすという演出が、観客には目新しかったのだろうか?
物陰に隠れている役者の姿が背後の鏡に映るので、観客もその様を楽しんでいた。
鏡を多用した演出は、役者にとって出待ちが難しいし、背後にも気を配らなければいけないし一苦労だろう。
尾上菊五郎が鏡に関するギャグを飛ばしたが、大いに受けていたし、
観客としては、舞台に立った役者と同じ視線で、観客席を眺められるの一興。
観客は、蜷川幸雄の創り出した鏡の世界に否応無く魅了されていく。
蜷川幸雄の演出は、出来のいいときと悪い時があるが今回は★★★。
ラストで斯波主膳之助と琵琶姫が出会うシーンはどのように鏡で演出するのかと予測していて、大はずれだったので、微苦笑した。
鏡による演出に惑わされて、イチバン簡単な方法をすっかり失念していたのだから。
尾上菊乃助自身も意気込みが違うようだ。
尾上菊乃助の男装の獅子丸でありながら女としての琵琶姫の気持ちを露呈する
グラデーションのような声と仕草変化の様に、秘めやかな色気があって実に良い。
顔の顎のラインも娘らしいシャープなラインで、姿勢もスッと天井から糸で吊ったようだ。
姿形も美しい。
尾上菊五郎の硬(丸尾坊太夫)と軟(捨助)ともいう両極端の役のダブルキャストは、観客が菊五郎と判別しかねる程それぞれの役に徹していた。
尾上菊五郎の優美で妖艶な女形も好きなんだけどな・・・。
オヤジだ~。
うわ~~、こんなオンナいるっ!
麻阿役の市川亀治郎が、演技上手!
NHKの大河時代劇とはまた違った趣だ。
女のいやらしさ、意地悪さを小憎らしいほどうまく演じている。
この市川亀治郎と安藤英竹役の中村翫雀との掛け合いは必見!
中村翫雀・・・阿呆役がこんなにハマっていいのか~(大爆笑)
シルブプレ~、マダ~ム。
シェイクスピアの時代には「男が全ての役を演じる」=「オールメイル・プロダクション」スタイルだった。
現在の歌舞伎と同じだ。
そういう意味でも歌舞伎との共通点が見られる。
「NINAGAWA 十二夜」が歌舞伎の演目として継承してほしい。
私がお婆さんになったときに、
「先代は、○○だったねぇ~」って、
尾上菊乃助の演じる丸尾坊太夫と捨助を比較したい。
「NINAGAWA 十二夜」は、歌舞伎役者による歌舞伎に「蜷川幸雄」がトッピングされたと判断したのだが・・・。
浄瑠璃や三味線などの鳴り物は健在。
拍子木の音は、私にとっては相変わらず清新さの象徴だ。
女形って、相変わらず生身の女性より「オンナ」だわ。
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